一級建築士試験を有利に進めるために、誰もが悩むこの問題。
独学突破する際のテキスト選び。
日建学院のテキストにするべきか、総合資格のテキストにするべきか。
この悩みに終止符を打つべくこの記事を書きます。
手に入れたサンプルは、日建学院2017年度版と、総合資格2019年度です。
多少古いので、参考になるかわかりませんが、ウェブ上にあまり情報がないようなのでご参考まで。
結論から言うと正規のルートで入手でき、独学突破に向くのは日建学院のテキストでないかと個人的には思う所です。
ただし、お金に余裕があるならば、通学とサポート重視の総合資格に入るのも一考に値します。
これからこの二つのテキストがどのように違うのか詳しく解説していきたいと思います。
目次
一級建築士試験(学科)予備校テキスト定量的比較(日建学院VS総合資格)
予備校テキストのページ数比較
まず、何ページあるのかというところから攻めていこうと思います。
実は総合資格、日建学院でかなりのバラツキがあるのですね。
◆総合資格のテキスト 2019年度版
計画 268p
環境・設備 276p
法規 452p
構造 298p
施工 410p
合計1704p
◆日建学院のテキスト 2017年度版
計画 300p
環境・設備 371p
法規 352p
構造 431p
施工 400p
合計1854p
◆テキストの差分(絶対値)
計画 32p 日建学院が多い
環境・設備 95p 日建学院が多い
法規 100p 総合資格が多い
構造 133p 日建学院が多い
施工 10p 総合資格が多い
数字を見比べるとかなり偏りがあるということが分かります。
同じ出題範囲(過去20年)からテキストを作っているのにも関わらず、何故こんなに偏りが出るのか?と思ってしまいますね。
特に、環境・設備、法規、構造は100ページを超える差があります。
しかも予備校ごとの得意不得意科目みたいなものが存在しています。
どちらかの予備校に偏ってくれたらレビューの結論を出すのが楽だったのですがそうはいかないようです。
日建学院は環境・設備と構造に力を入れている。
総合資格は法規に力を入れているということになるでしょうか。
全体でみると日建学院の方がボリューム感は100p多い。
どちらにしろ1700~1800pを読んで理解しないといけないという点においては互角に思えますが、どちらも一長一短ありますね。
後程、具体的に何が違うのかを明らかにする必要がありそうです。
予備校テキストの文字の詰め方比較
ちなみに平均的なページの文字の詰め方は
総合資格 34文字x35行=1190文字
日建学院 32文字x41行=1312文字
総合資格の一ページ当たりの文字量を1とすると日建学院は1.1倍の文字量があります。
よって、文字スペースにおける文字情報量の単純比較をするのであれば、下記のような計算が成り立ちます。
総合資格 1190文字x1704p= 2,027,760 これを100%とすると
日建学院 1312文字x1854= 2,432,448 こちらは119%で約20%も情報量が多い可能性がある。
全体で日建学院の方が2割も(一科目分も!)文字スペース量が多いという結果になります。
逆に言えば総合資格の方が、2割分濃縮されているということも考えられますね。
情報が多くても良いからが詳しいテキストが欲しい人は日建学院のテキストが良い。
エッセンスのみ濃縮されたものを読みたい場合総合資格が良いということになりそうです。
どちらが効率がいいのかはこれだけでは結論が出ませんね。
(参考)いつから勉強を始めればいい?予備校テキストを3ヶ月で一周するには
例えば、勉強を週末だけやる事を想定します。
すると3ヶ月で12回の週末があるわけです。
一方で1800pのテキスト+問題集を解くことになるわけですが、テキスト範囲だけを考えると1800÷12=150pです。
週末ごとにほぼテキスト一科目の半分をカバーするペースで勉強をする必要があるということが分かります。
一日8時間勉強をすることを想定するとして、16時間で150pを覚える必要があります。
1時間で約10ページ、1ページ当たり6分しか覚える時間がありません。
読むのが手一杯ではないでしょうか。
繰り返し覚えたり、問題を解く時間はほぼないことがわかります。
初学者であればテキストを覚え込むまでやり込むには少なくとも私は4周程度はする必要があると思います。
このペースで仮に勉強できるとしても、3ヶ月x4周=1年くらいはみておきたいものです。
勉強を始める時期に早すぎる事はないと思います。
始めるなら今です。
まずはテキストを何としてでも手に入れましょう。
予備校テキストの費用比較
総合資格は教材だけの正式なセット価格が見当たりませんね。
総合資格の公式ページを見てみると、▼初学者は2年間がかりで勉強をして100万円を超えるコースとかになってます。
これはある意味理にかなっていて、2年間通学してきちんと時間をかけて合格しましょうということでしょう。
先ほどのテキスト量の分析結果を踏まえると初学者が2年かけるのは妥当に思えます。
総合資格の強みは恐らくこの通学とサポートの厚さであるのではないかと思います。
テキストだけ欲しい場合はメルカリ等で買うしかなさそうです。
一方、総合資格とは対照的に、日建学院は教材がついている通信講座があるようです。
これは価格的にもとっつきやすく、とても良いと思います。
これも型落ちを狙うのであればもっと安く手に入ると思いますが。
予備校テキストの見やすさ比較
総合資格のテキストと日建学院のテキストの作りはお互いに遜色ないように感じますが、大きな違いがあります。
総合資格は通学を重視しているため、自分でテキストをマーキングしながらオリジナルのテキストを完成させるというコンセプトに基づいて作られています。
まずは講義範囲を一読し、アンダーラインを引いて、講義を聞いてハイライトを付け、重要な部分に自分でマーキングしていくシステムです。
よって、買ったばかりの状態では、圧倒的に総合資格のテキストは白い状態です。
部分的に赤い文字が使われたり、太字が使われたりしていますが、基本的にはフラットな感じがします。
一方で、日建学院のテキストは講義を聞いてマーキングして完成ではなく、買った状態で既に完成しています。
通信講座で使われるだけあって、そもそもが出来上がっているテキストなのですね。
赤の文字、太字、ポイント枠、グレーのハイライトによって、買った状態で既に視覚的に分かり易くなっています。
重要項目や、覚えるポイントが分かり易く示唆されています。
対照的なページの比較をしてみますが、病室の計画で載っている情報はそんなに変わらないのですが、見栄えはかなり違います。
両方とも絵をふんだんに使っていてとても分かり易く、出題履歴もきちんと右側に書いてあり、とても親切です。
同じ内容を見比べてみると、なんとなく違いが判ると思います。
一級建築士試験予備校テキスト内容の比較(日建学院VS総合資格)
それでは各教科ごとの内容をチェックしていってみましょう。
学科別予備校テキスト比較:計画編
主な内容は下記になります。
-
総合資格
- 建築士の職責・建築設計の手法等
- 居住施設
- 学校教育施設
- 社会教育施設
- 医療施設
- 高齢者施設
- 商業施設
- 細部計画
- 建築積算
- 都市計画
- 建築生産(マネジメント)
- 建築設計・監理業務委託契約約款
日建学院
- 住宅・集合住宅
- 公共建築
- 商業建築
- 計画一般
- 積算
- 都市計画・住宅計画
- 建築史
詳しく内容を比較していきます。
網羅範囲はほぼ互角
パッと見ると章の構成を見ると総合資格の方が分かれ方が細かいですが、内容はほぼほぼ同等です。
総合資格の学校教育施設、社会教育施設、社会教育施設、医療施設、高齢者施設等は日建学院の公共建築にまとまっています。
建築士の職責・建築設計の手法等の総論については日建学院の計画一般で述べられています。
総合資格の細部計画・建築生産は日建学院の計画一般に相当しますので、お互いの範囲は大体同じように網羅されているように見えます。
総合資格の建築設計・監理業務委託契約約款は全文は載っていませんが、日建学院の計画一般に言及があります。
建築史の章は日建学院にしかない
一方で建築史については、日建学院が40p程度割いているのに対し、総合資格には全くない内容です。
全体で32pの違いがあるのは恐らくはこの建築史の章があるかないかでしょう。
毎年建築史の問題は1~2問あるそうで、その中で日本建築史、西洋建築史、近代建築史について説明されているのは貴重です。
章末の建物種別建築物の実例は日建学院しかない
それから、日建学院と総合資格の大きな違いとして挙げられるのは章末に建築物の実例が挙げられているかどうかでしょう。
建物種別の設計の要点がまとめられているのは双方同様ですが、そのあとに実際の建物の実例が紹介されているのは日建学院のみです。
例えば住宅の場合下記のような出題があった建物についての説明がされているのはとても親切に思えます。
各建物種別にこのような出題歴のある有名な建物が載っているので雑学としても試験勉強としても役に立つでしょう。
総評
大きな違いは建築史と建築の実例があるかないかです。
建築史や建築は得意でないよという方は日建学院のテキストがおススメになります。
それ以外の違いはマイナーだと思います。
学科別予備校テキスト比較:環境・設備編
設備の主な内容は下記になります。
日建学院の方が90pほど多くなっています。
-
総合資格
- 日照・日射
- 採光・照明
- 色彩
- 室内気候と気象
- 換気
- 熱・結露
- 音響
- 空気調和設備
- 省エネルギー・保全・管理
- 給排水・衛生設備
- 電気設備
- 昇降機設備
- 防火・防災設備
日建学院
- 環境
- 換気
- 伝熱・結露
- 日照・日影・日射
- 採光
- 色彩
- 音響
- 環境工学融合
- 空気調和設備
- 給排水衛生設備
- 電気・輸送設備
- 照明設備
- 消火・防災設備
- 環境・設備融合
詳しく内容を比較していきます。
設備の網羅範囲は双方ほぼ互角
内容が対応しているかというと、お互いの範囲はきちんと対応しており、ほぼ互角と言えるでしょう。
しかし、90p程度日建学院が多い理由をしっかりと把握する必要はありそうですね。
90pの差はどこにあるのか
どの項目が多いのか、分析をしてみます。
左が総合資格の分量、右がそれに対応する章の日建学院の分量、最後にその差分を表示してあります。
- 日照・日射 12p 22p +10
- 採光・照明 21p 21p +0
- 色彩 8p 15p +7
- 室内気候と気象 13p 16p +3
- 換気 20p 16p -4
- 熱・結露 20p 21p +1
- 音響 22p 25p +3
- 空気調和設備 26p 59p +23
- 省エネルギー・保全・管理 19p 32p +13
- 給排水・衛生設備 25p 33p +8
- 電気設備 14p 昇降機設備 9p 37p +14
- 防火・防災設備 26p 29p +3
空気調和設備の23pが特に多いですが、その他は全体的に分量が分散して多いということが分かります。
実際ページ空気調和設備のVAVとかCAVとかの説明を読んでみると、ページを割いて詳しく書いてある印象を受けますね。
ただし、決定的にこれがないと困る!というような大きな違いは感じられませんでした。
実際に読み比べてみても、何か特定の分野が大きく抜け落ちているということではないようです。
総合資格の設備の教科書は計画と違って見やすい
一つ特筆すべきなのは、総合資格の設備の教科書の見やすさです。
これは中々、印象だけでは伝えづらいのですが、総合資格の教科書は白いという話をしたのですが、設備は違います。
総合資格の設備のテキストは計画に比べてクリーム色が一色増えており、赤の使い分けも秀逸で、分かり易いです。
これ実は、計画と設備では編集者が違うのではないかと思ってしまいますね。
科目によって見た目のバラツキがあります。
バラバラっとめくってみるだけでも印象が全然違うので、総合資格の設備はこれはなかなか、「いいぞ」と思ったりします。
一方日建学院は、同じ日射熱取得率の部分を見てみると、計画と同様、淡々と安定したつくりになっています。
総評
総合資格の見やすさが光るテキストでした。
日建学院も安定したつくりです。
100pの差はなかなかですが、見やすさと相殺してほぼ互角といっても良いでしょう。
学科別予備校テキスト比較:法規編
100pの差分が存在する二つの予備校の主な内容は下記になります。
総合資格の方が100p多いことになります。
-
総合資格
- 用語の定義
- 面積・高さの算定方法
- 確認申請
- 建築手続き
- 一般構造
- 防火区画等
- 耐火・防火
- 避難施設等
- 内装制限
- 建築設備
- 構造強度
- 道路
- 用途地域
- 容積率・建蔽率
- 高さ制限
- 防火地域及び準防火地域
- 地区計画・建築協定、雑則等
- 建築士法
- 都市計画法
- 消防法
- 高齢者障害者等移動等円滑化促進法
- 耐震改修促進法
- 住宅品質確保法
- 特定住宅瑕疵担保履行法
- 建設業法
- 建築物省エネ法
- その他の関係法令
日建学院
- 建築基準法の概要
- 総則
・用語の定義
・面積高さ階数
・手続等(確認申請・その他) - 一般構造
・居室の採光・換気
・天井の高さ、遮音、階段等
・その他の単体規定 - 構造強度
・構造関係規定の構成
・構造方法(仕様規定)
・構造計算 - 防火規定
・大規模な建築物の制限
・法22条区域内の制限
・特殊建築物の制限
・防火地域・準防火地域内の制限
・防火区画等
・内装制限
・耐火性能検証法・防火区画検証法 - 避難規定、建築設備
・総則
・廊下、避難階段、出入り口
・その他の避難規定
・避難安全検証
・建築設備 - 都市計画区域などの制限
・道路壁面線
・用途地域等
・容積率・建蔽率など
・高さの制限
・地域・地区等の計画 - 建築協定・雑則等
・建築協定等
・雑則など
・罰則 - 建築士法・職業倫理
- その他の関係法令
・都市計画法
・消防法
・高齢者障害者等移動等円滑化促進法
・建築物の耐震改修の促進に関する法律
・住宅の品質確保の促進などに関する法律
・その他の法令
見出しを眺めてみると、纏め方や順番は違うものの、どちらの予備校もだいたい同じ網羅の仕方をしているように思えます。
ここが載ってない!みたいなことにはならないと思うので、その心配はなさそうです。
法規は細かく各項目ごとにどちらが良いのか比較検討して、テキストを読み比べていきたいと思います。
用語の定義の整理の仕方は日建学院のダイアグラムが分かり易い
用語の定義は両方とも図があり見やすく分かり易いのですが、総合資格は法令集をそのまま引用している部分が多く見られます。
一方で日建学院は、法令集の引用が少なく、その分、表やダイアグラムを使った、整理がとても秀逸です。
例えば防火構造、難燃材料などの包有関係ににある材料用語であるとか、
例えば地階の説明にしても総合資格は法令集を引用しているのに対し、
日建学院の方が実例を交えて分かり易く説明ができているように感じます。
面積高さの算定方法は双方互角
面積高さの算定方法は総合資格もふんだんに絵と色を使って説明しているので、日建学院と遜色ない内容となっています。
図がとても分かり易いですね。
これはほぼ互角と言っていいでしょう。
ただし、やはり総合資格は下にある通り、法規の引用があるのですね、その分量が多い気がします。
一方で、日建学院は法令集の本文はあまり載っていないので、もしかしたら100pの差というのは本文を載せているかどうかなのかもしれないと思い始めているところです。
確認申請は日建学院が分かり易い
確認申請に関しては軍配は日建学院にありですね。
見開きの2ページで建築物、用途変更、仮設建築物、建築設備、工作物、建築計画の変更すべてに対応し、表を用いて分かり易く表現してあります。
一方で総合資格は8ページを割いて、法規を引用して説明してありますが、きちんとまとまってない感じがあるので、これは日建学院の方が分かり易いと思います。
建築手続きも日建学院が分かり易い
これはダイアグラムが日建学院が秀逸ですね。
文章だけでなくそれをきちんと視覚化しているかどうかで理解の深まり方が違うと思うのです。
総合資格は法令集の引用が多いですが、それをかみ砕いてダイアグラムにしたりということがあまりないので、自分でイメージを膨らませる必要があります。
通学の手厚さと、自分自身で線を引いてというのが総合資格の強みでしょうから、敢えて淡白にしているかもしれません。
一般構造は双方互角
一般構造は双方互角でしょう。
総合資格の階段のまとめはかなり秀逸です。色もついていますし、アクセントのつけ方も見やすく、日建学院に劣らないツボを押さえた作りになっています。
総合資格は力が入っているところとそうでないところのバラツキが目立ちますね。
引用多めですが、下図のように纏めが良い所もあるので、なかなか日建学院との単純な勝敗のつけ方に迷うところです。
一方で、日建学院の一般構造は、安定したつくりになっていて分かり易いです。
引用が少なめで、絵、ダイアグラムが多めの良い構成になっていると思います。
防火区画に大きな違いは見られない。
防火区画についてはそんなに大きな違いは見られませんね。
どちらも図をふんだんに使っているので分かり易いかと思います。
総合資格は防火区画は一つのカテゴリーにしていますが日建学院は防火規定の中のカテゴリーに入っています。
私の好みとしては、防火規定でまとめた方が良いかなとは思いますが、別にバラバラでも良いと思うので、特に良い悪いといった話ではない気がします。
耐火・防火は総合資格が詳しい
総合資格のテキストでは、こういった絵が使われているのはとても良いポイントだと思います。
総合資格が耐火・防火についてひとつの章を使っているのに対し、日建学院は総則のところで説明しているので、ちょっと分量少なめです。
これは総合資格の方が詳しく述べているといって良いでしょう。
避難施設等は甲乙つけがたいが
避難施設の章では総合資格は図が多く好感します。
ただし、ダイアグラムの秀逸さで言うと、例えば重複距離を見てみると分かり易さに違いがみられます。
上図の意図はちょっと無駄に3次元にしているため分かりにくいと思います。
その点日建学院はダイアグラムがやはり秀逸だと思いますね。
日建学院はどの章も安定して分かり易い感じがしますね。
道路 用途地域 容積率・建蔽率
ここら辺の章は様子はあまり変わらないですね。
総合資格は引用多め、絵も多め、日建学院は安定の分かり易さ。
どちらも力を入れて詳しく載っているのでどちらでも大丈夫だと思います。
高さ制限は総合資格の力の入れ方が半端ない
総合資格の力の入れ方が半端ないですね。
図がめちゃめちゃ多いです。とにかく分かり易い!
20ページぐらいを割いてこれでもかって感じの説明が載ってます。
一方、日建学院も安定の分かり易さがあります。こちらは16ページくらいです。
その他はどちらも文章多め
それ以降の章はどちらもテキストベース、文章多めで代り映えしませんね。
総合資格、日建学院ともに絵は少なく、なかなか難しいでしょう。
法規なのでそもそも楽しいものではないですよね。
総評
総合資格は力が入っている章とそうでない章のギャップがありますね。
そして、法令集の引用が多く、分量多めです。
恐らく100pの差は引用が多いかどうかです。
日建学院は安定したつくりになっていて、引用が少ない感じですね。
学科別予備校テキスト比較:構造編
構造のテキストの作りはこのようになっています。
-
総合資格
- 構造力学
・力とつり合い
・静定構造物
・断面の性質と応力度
・部材の変形
・不静定構造物
・座屈
・振動
・骨組みの塑性解析 - 各種構造
・構造設計の基礎
・構造計画等
・鉄骨構造
・鉄筋コンクリート構造
・鉄骨鉄筋コンクリート構造
・木質構造
・基礎構造
・その他の構造等 - 建築材料
・木材
・コンクリート
・金属
- 構造力学
日建学院
- 力のつり合い反力
- 静定構造物の応用
- 断面の性質
- 応力度・変形・座屈
- 不静定構造物の応用
- 構造設計
- 鉄骨構造
- 鉄筋コンクリート構造
- 鉄骨鉄筋コンクリート構造
- 地盤と基礎構造
- 木質構造
- その他の構造等
各予備校の分け方に特徴がありますね。
構造の網羅範囲は互角
総合資格の建築材料というのは、日建学院では各構造の方に入っているので内容的には一緒です。
お互いの網羅範囲はほぼ一緒と考えられるでしょう。
日建学院の方が133p程度多いのでその差がどこにあるかを見つける必要がありそうです。
133pの差はどこに?
どの項目が多いのか、分析をしてみます。
左が総合資格の分量、右がそれに対応する章の日建学院の分量、最後にその差分を表示してあります。
- 構造力学 88p 126p +38p
- 構造設計 40p 56p +16p
- 鉄骨構造・金属 30p+4p 56p +22p
- 鉄筋コンクリート構造・コンクリート 32p+6p 73p +35p
- 鉄骨鉄筋コンクリート構造 12p 16p +4p
- 地盤と基礎構造 26p 43p +17p
- 木質構造・木材 16p+4p 30p +11p
- その他の構造等 26p 19p -7p
日建学院は力学と、鉄骨構造、鉄筋コンクリート構造が特にページ数多めですね。
力学は圧倒的に日建学院が分かり易い
総合資格が86pを力学に割いているの対し、日建学院は126pと圧倒的な量で上回っています。
しかも、日建学院はグレーと赤の色遣いがとても素晴らしいと思います。
同じたわみの公式を比べてみましょう。
総合資格は白黒です。
そしてカテゴリー分けがされていないですね。
日建学院はカラーで強調し攻めています。
しかもカテゴライズされているのが良いと思います。
力学は日建学院でしょう。
構造設計はページの差はあれ重要ポイントは押さえられている
構造設計の章は総合資格もカラフルでかなり頑張ってる印象があります。
風加重の速度圧等とても見やすいですね。
同じく総合資格の設計ルートについてのダイヤグラムもなかなか分かり易いです。
しかし、この章で16ページも上回っている日建学院のダイアグラムは一ページを使って詳細が書いてあります。
カラフルで捨てがたい所もありますね。
この章は読んでいてどちらも重要項目は押さえられているように感じました。
鉄骨構造は日建学院が圧倒的に詳しい
日建学院の+22ページの差は大きいですね。
グラフと図の量がかなり総合資格に比べ多い印象があり、理解が深まり易いと感じました。
薄い赤とグレーをうまく使って絵もきれいに見えます。
それから超重要項目の耐震設計(1-1,1-2,2,3)のフローダイアグラムはおそらく日建学院にしかないようです。
総合資格はダイアグラムではなく文章で説明していますがあまり読みやすいとは言えません。
そして耐震設計に割いているページ数も総合資格が2ページに対し日建学院は8ページのように見えます。
ルート3のDsの算出手順など割と難しい問題で出題歴のある部分がきちんと説明されているのは日建学院です。
この章については日建学院がとても詳しいと感じました。
鉄筋コンクリート構造は日建学院が圧倒的に見やすいし詳しい
総合資格のこの章に限って言えばレイアウトが見にくいです。
情報量を一ページに詰め込み過ぎているように思えます。
35ページも日建学院と差があるのですからそれはそうですよね。
例えば同じ表でも、鉄筋コンクリート用棒鋼の降伏点の表のスペースの大盤振る舞いの仕方が凄いです。
この見やすさは勉強のモチベーションに地味に効いてくるのではないでしょうか。
一方で通学を重視している総合資格はモチベーションは通学で上げるから大丈夫なのかもしれませんが。
それからやはり、耐震設計については日建学院とかなりの差が見られます。
総合資格は、あまりページ数を割いてない印象があります。
もしくは、説明が本当はあるが、レイアウトのせいで目に入ってこないかのどちらかです。
日建学院は鉄骨の方と合わせたダイアグラムから始まって、実に14ページもの解説がついています。
読みやすさ、詳しさ、網羅範囲どれをとってもこの章については日建学院に軍配が上がりそうです。
残りの章については
この辺で構造のテキストは日建学院のコールド勝ちじゃないでしょうか。
残りの章もレビューしようかと思いましたが、オーバーキルになりそうなので、時間ができ次第またの機会にします。
学科別予備校テキスト比較:施工編
施工はかなりまとめ方が双方違うので違いを探すのが難しい状況にありますが、対応表を作ってみます。
-
総合資格
- 施工計画
- 工程管理
- 品質管理
- 現場管理
- 建設業法関連
- 産業廃棄物処理及び土壌汚染関連
- 材料管理
- 申請・届け出
- 測量
- 地盤調査
- 仮設工事
- 土工事
- 基礎工事
- 鉄筋工事
- 型枠工事
- コンクリート工事
- 鉄骨工事
- プレキャスト鉄筋コンクリート工事
- メーソンリー工事
- ALCパネル工事
- 押し出し成型セメント板工事
- 防水工事
- 張り石工事
- タイル工事
- 木工事
- 左官工事
- 屋根及び金属工事
- カーテンヲール・ガラス工事
- 内装工事
- 塗装工事
- 改修工事
- 設備工事
- 施工機械
- 請負契約
日建学院
- 施工業務
・施工業務一般
・請負契約
・工事請負契約約款 - 施工計画
・工程計画 - 施工管理
・工事現場管理
・安全衛生管理 - 仮設工事
・仮設構造物
・災害防止装置 - 地盤調査
・地層
・地盤調査 - 土工事・山留工事
- 基礎・地業工事
・施工計画・施工管理
・基礎
・既製杭地業
・鋼杭地業
・場所打ちコンクリ―ト杭地業
・地盤改良地業 - 鉄筋工事
- 型枠工事
- コンクリート工事
- プレキャスト鉄筋コンクリート工事
- 鉄骨工事
・ALCパネル工事
・カーテンヲール工事
・押し出し成型セメント板外壁工事 - 仕上げ工事
・張り石工事
・タイル工事
・防水工事
・左官工事
・木工事
・ガラス工事
・内装工事
・塗装工事
・その他の工事 - 改修工事
- 設備工事
施工の網羅範囲は互角
これはほぼほぼ互角でしょう。該当章同士を読み比べても内容に大きな漏れがあるようには見えません。
総合資格、日建学院ともツボを押さえた作りになっているのではと思います。
マイナーな違いについて
品質管理の項は日建学院にはなさそうに見えますね、と言っても上のデミングサイクル等が載ってない程度です。
出題歴は書いてないので総合資格オリジナルコンテンツでしょう。こういったプラスアルファコンテンツは嬉しいですね。
材料管理の項は総合資格は一つの章でまとめてありますが、日建学院では各項にばらけて入っているようですね。
これはまとめてある総合資格の方が分かり易いかもしれません。
産業廃棄物処理及び土壌汚染関連は一見総合資格にしかないように見えますが、日建学院のテキストにも巻末の参考資料に入っているので安心です。
施工のテキストの違いは好みでしかない
どちらの予備校も内容はほぼ同等に思います。
頻出項目であったり重要項目はきちんと押さえられていると感じました。
ここからは完全に好みの話になると思うのですが、やはりグラフィックって大事だと思うのですね。
総合資格の教科書は自分でハイライトすることを前提に作られているので圧倒的にやはり白いです。
絵、図、表等の文章でない物の量も日建学院のテキストに比べると若干量少ないのではないかと印象を受けますね。
総合資格の教科書も決して絵が足りないわけではないのです。
絵は載っているのですが、比較すると、、少し少ないという話です。
これは地味に勉強をするときのモチベーションに関わってきます。
文字ばっかりのページがあることでやる気をそがれてしまうことってあると思うのです。
内容の問題ではなく、読む気が起こるかというところで日建学院のテキストの方が私は好みだと思います。
最終的に好みの問題で片づけるのもどうかと思うのですが。
独学突破を狙うのであれば、読みやすい教科書がいいなと私は思います。
一級建築士試験(学科)予備校テキスト比較まとめ
おススメ計画は建築史と建築実例がある日建学院がおススメ
タイ設備は総合資格の見やすさと日建学院の分量の差の勝負でタイ
タイ法規は章によってバラツキがある総合資格を取るか安定の日建学院を取るべきか迷うところ
おススメ構造は日建学院のコールド勝ち
おススメ施工は日建学院のグラフィックに一票
というわけで、買うのであれば、日建学院のテキストが全体的におススメであると私は感じました。
どちらにしろ正規のルートで買えるのは日建学院のテキストなので、通学を考えないで独学突破なら一択ですね。
総合資格はその点、通学とサポートには定評があるので資金に余裕がある方は総合資格をお勧めします。
それでは皆さんの健闘をお祈り申し上げます!